大道芸の未来を迎えに
大道芸の未来を迎えに

イベントパートナーの高橋です。 おおげさなタイトルですね。吹けば飛ぶ零細企業の人間が何を語れるんだ、勝手に業界を背負うな、コメンテーター気取りか、裏方らしく引っ込んでろ、と皆さんの脳裏によぎることは想像に難くないのですが。
ちょっと興味を引くこのテーマで、自宅の壁紙をビリビリに剥がすことに夢中な3人の息子を見て見ぬふりすることで時間をつくりキーボードを走らせてみようと思います。発泡酒の空き缶がすでに2つ横に転がっていることは秘密です。
そして、日本大道芸フェスティバルin津山さくらまつりの開催決定の告知ツイートをした際に、大好きなパフォーマーさんの一人であるシンクロニシティ ラガーさんに「長い、長すぎるよ!」としっかりお叱りを受けたのですが(笑) 今回はもっと長いので、もの好きの方だけ読み進めていただければと思います。
叱られたツイート https://x.com/jugglersynchro/status/1890298085701742982…
本題です。
私達イベントパートナーはこれまでに日本大道芸フェスを何度か開催しています。 コロナ禍で人数制限をする必要があったり、保健所から求めらたときのために観客名簿を作成する必要があったり、金銭的な都合、補助金の都合など、様々な問題を解決するために有料制の大道芸フェスを開催しました。
SNS上でも現地でも直接的な批判コメントはほとんど無く、温かな雰囲気のイベントとはなりましたが、有料フェスとなったことから、一部の方からこのような感想が寄せられました。 「入場料あるのか…子どもと4人で行ったら、それだけで3000円くらいかかるし、投げ銭も何組にもするし、お昼ごはんも交通費も…家族で1日遊んだら1万円くらいかかっちゃうじゃん」みたいなニュアンスだったと記憶しています。
コロナ禍の日本大道芸フェスは、みなさんにクラファンをお願いしたり、ファンの皆様に支えられて開催出来ていたのですが、その一方で「あなたたちのイベントはチケット代1000円でも高い」とSNS上でコメントする人が数名いるということは、わざわざコメントしないだけで、一定数の人が、「あなたたちのイベントにそんな価値はない。有料なら行かない、大道芸なんて無料じゃないなら意味ない」と思っているのかな…と感じて悔しい気持ちになっていたのを憶えています。イベントパートナーのSNSをチェックしてくれるほどには大道芸に興味がある人にも関わらず一部はそのように感じているのですから。
そのようなことがあった一方で、クラファンでたくさんご協力をいただいたり、遠方から泊まりで遠征してくださる方もたくさんいらっしゃいました。コロナ禍で様々なイベントが中止になってしまっていたタイミングだということはありますが、それでも、特に関東圏在住のお客様の来場が多かった印象です。関東圏の方からみれば、交通費、宿泊費含めると、愛知で実施される日本大道芸フェスに来るということは、ディズニーランドに行くのと同じくらいの費用がかかってしまうイベントなんですよね。移動含めかかる時間で考えれば大道芸というエンタメにもっと自分の時間とお金を使ってくれてるわけです。
もちろん日本大道芸フェスが凄いのではなくて、出演してくださるパフォーマーさんによって成り立っているのですが、それでも、何万円も、何日もかけて日本大道芸フェスに来てくださる方に満足してもらえるように、足りない予算と足りない頭で、とにかく時間と情熱だけはかけて、ディズニーに行くより満足度の高いイベントを目指すぞ!という意気込みでフェスを運営していました。
そんな思いが少しだけでも伝わったのかはわかりませんが、今回4月5,6日の2日間、津山で日本大道芸フェスin津山さくらまつりを開催できる運びとなりました。
これまで津山市で大道芸フェスは開催されたことが無いようで、開催の告知ポストをしましたが、地元に大道芸フェスがやってくる!という感覚の方はSNSのリプライを見てもほとんどいらっしゃいません。一番近い方でも岡山市の方かな、それでも車で1時間以上かかります。
つまり、この文章を読んで、それでも日本大道芸フェスin津山さくらまつりに来ていただける方はもれなく全員遠方からの遠征組ということになります。(偶然津山に旅行の予定がある大道芸ファンの方はSNS上で2名見つけましたが。(笑))これだけ世の中にエンタメが溢れているなか、遠征してまで日本大道芸フェスを見に来てくれることは当たり前だと思っていません。感謝を伝えたくてこの文章を書いている訳で。もうそれだけなんですが、加えて図々しいお願いがあります。
初めて日本大道芸フェスを開催する際にこんな文章を公開しました。
なぜクラウドファンディングで開催費を集めるのか? https://1st.daidougei.net/why/
もしお時間あれば読んでいただきたいのですが、その中で大道芸フェスの構造的な問題に触れました。
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現在の日本全国の大道芸フェスティバルの構造について考えてみましょう。 主に日本全国の大道芸フェスは商店街を中心とした、もともと賑わいのある場所をより賑わせるというお祭りの構造で成り立っています。
しかし、コロナ禍において考えてみると、商店街では人を3密から遠ざけることが場所柄不可能に近く、それをコントロールするにも大きな人員や費用が必要になります。 そもそも主催者が潤う構造になっていないにもかかわらず、クラスターが発生した際に叩かれるのはフェスの主催者及び場所を提供した商店街でしょう。商店街ごとワイドショーの餌食となり得ます。 そのためフェスを中止する方向に話が進むのは当然で、残念ながらコロナ禍において大道芸フェスを開催する経済合理性はほとんどないと考えざるを得ません。
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現在はこのフェーズを超え、従来の生活様式に戻り、各所で大道芸フェスは復活していますが、もっともっと大道芸の広がりがあって欲しいなと夢見ています。
今回、大道芸のポテンシャルに賭けて津山市さん、市役所のYさんが、大道芸のイベントの開催に踏み切っていただいた訳ですが、今、全国は、田舎都市部問わず少子高齢化、人口減少の中、まちおこし、移住促進など大きな課題を抱えています。それ自体は長期的な課題で、一足飛びに解決する魔法はほぼありませんが(北広島市の北海道日本ハムファイターズ誘致は魔法でしたね。)、まずは街の魅力を感じてもらう一歩として観光客誘致があると思っています。津山市は元城下町であり、旧市街あり、B級グルメあり、観光資源が豊富な街です。大道芸フェスはショーを楽しんでもらうと同時に各スポットに散りばめられた歴史や街の魅力を知る旅でもあります。みなさんも静岡市の街なかや、駿府城公園に自然と詳しくなってますよね。愛着湧いちゃってますよね。大道芸フェスはまちおこし、観光客誘致のイベントとして、これからの地方の課題解決につながる可能性を秘めたエンタメのひとつであると信じています。
もちろん、後付けの理屈ですよ。でもすごいおもしろいし。私はイベンターとしての側面もありますが、普段はただの大道芸ファンですから。自分の好きなものの未来に勘違いの一つくらいさせてください。
そして日本大道芸フェスin津山さくらまつりがそのきっかけのひとつになったらこんな幸せなことはありません。
ここまで読んでいただいたあなたにお願いがあります。
遠いかもしれません。
お金も時間も掛かるかもしれません。
だから軽々しく無理してでも来てくださいなんて言えません。
でも、
日本大道芸フェスin津山さくらまつりに、遠方から沢山の人が訪れる。 「Yeah!!!!! Whoo!!!!!!」って盛り上がっちゃう。 地方メディアからも取り上げられちゃう。 他の自治体の人たちが「あれ、なんかすごいことしてる?経済効果あるかも?」ってなる。 他の自治体の人たちも大道芸フェスやってみようかな?ってなる。 日本全国で大道芸フェスやイベントが増える。 大道芸のことが好きな人が増える。 ってなる未来、見たくありませんか?これまで日本大道芸フェスで少しだけ見てきましたよね?これからも一緒に見ませんか?
私が大学生のときに、大道芸に出会い、自分の一生の仕事にしようと人生の大半を賭け、コロナ禍で減りゆく会社の資金を横目で眺めながら、従業員には泣いてもらって大金を賭けた「大道芸」というエンタメに、みなさんも乗ってもらえたら、こんな幸せはないです。
みなさんと一緒に大道芸の未来を迎えに。 イベントパートナー 高橋拓郎